シナモンAIでは社会におけるAIの活用を、単純作業の低減」から、人間の専門技能の強化による創造性の最大化」にフォーカスを移し、会社の大きな目標としています。人間の専門技能を拡大する技術を開発するに当たり、私たちは専門技能を、知覚、推論、レスポンスという段階に分けそこで現れる技能をAIにより拡張するアプローチをとりますシナモンAIのAIエコシステムで、知覚、推論、レスポンスの各段階の技術を構築し、それらの側面を相互に結びつけることで専門知識を抽出、蓄積する総合的なソリューションを目指しています。ここでは、わたしたちのエキスパートAIのコンセプトをご紹介します。 

パーセプション(知覚) 

現在のAIが得意とするのは、物体の認識やパターンの分類など、基本的な知覚プロセスに過ぎません。人の顔の識別や、物体の追跡、光学的に文字を認識をするAIソリューションは数多くありますが、知覚している情報・信号の基本的構造をAIソリューションはほとんど理解していません。人の顔を認識するにあたり無視する部位、フォーカスする部位がある不均質な物体を認識できるのか?音声認識し、書き起こしたテキストの意味を理解しているのか?これらの問の答えは、すべて「いいえ」です。 

どの分野であれ、エキスパートは情報の断片を分析し、普通の人ならしばしば見逃してしまうような隠れた特性を見つけ出す「分離・選択」のレンズを通した独自の世界を見つめています。シナモンAIはマルチモーダルな知覚エンジンを提供し、データの構造化・再利用可能なフォーマットへ分解します。これは、エキスパートのレンズを通した認識のための重要な前提条件です。 

シナモンAIでは、知覚能力を強化する独自開発したAIを提供しています。 

  • マルチモーダルな情報の分離・選択
  • ナレッジの意味表現(ナレッジの意味的側面を相互関係により適切に捉える)

入力されたパターンをそのまま検出する従来のアプローチと異なり、シナモンAIのシステムでは、入力パターンを意味ある情報の断片に分解し、データの基本的な構造を明らかにします。シナモンAIのFlax Scannerエンジンでは、請求書の内容をキーと値に分解し、ユーザーが必要とする情報をその属性(キーと、キー同士の関連性)を維持した上で抽出することで、手間のかかる請求書の選別作業や情報システムへの入力による情報集積化の時間と労力を削減します。 また、Rossaエンジンでは、ドメイン知識に適応し高いカスタマイズ性を持つ音声認識と、発話者や内容遷移の追跡と言った音声データの情報処理を可能にします。 

さらに、それら知覚エンジンで取得された情報とその属性情報をNLP分析することにより、情報の要素単体ではなく、それらの文脈や要素同士の関係性を捉えます。例えば、シナモンAIのAuroraエンジンでは、何ページにもわたる法律文書を弁護士が考慮しなければならない契約条件を確保しつつ、短い項目やパラグラフとして要点を抽出します。音声に対しても同様な発話に特化した分析・処理エンジンを持ちます。 

このように、わたしたちは、オフィスで発生するマルチモーダルなビジネス情報を集積化し、互いに結びつけることで、情報を多角的に分析し、知識化することを目指しています。 

推論(Reasoning) 

さらにエキスパートのタスクを観察してみると、その思考プロセスは以下の6つの認知ステップのいずれかをループしていることに気が付きます。 

  1. 検索(Searching)
  2. クラスタリング(Clustering)
  3. 再現(Recall)
  4. 帰納(Induction)
  5. 演繹(Deduction)
  6. 想像(Imagination) 

残念ながら、最新のAIでも、これらの認知のレベルにはまだ遠く及びません。しかし、シナモンAIは、エキスパートレベルの推論をアシストするための研究を積み上げています。 

まず、「知覚」プロセスにおいて情報の意味的理解を推し進めることにより、専門家にとっての情報有用性を検証することで探索空間を数百倍に縮小することで現実的な処理系を追求しています。また、データを専門家の視点で自動的に分類し効率的に検索できるような、データ表現、格納法を研究しています。具体的には、「知覚」プロセスでの文脈とりこみ、情報要素間の関係性分析、マルチモーダル認識エンジンからの多角的情報取得、といったアプローチにより、一つのビジネス情報について複数の背景情報を保持できるように情報が格納されます。これにより、ユーザの状況に応じ適切度の高い情報の抽出・分類が可能となります。実際、クラスタリングや再現のプロセスを手動で行うと専門家でも何時間もかかる可能性があるためこのシステムは専門家の意思決定プロセスを向上させることが出来ます。 

シナモンAIのエキスパートAIシステムは、エキスパートを強化するだけでなく、思考プロセスに関与することを目指します。エキスパートがその専門的知見と共に専門的技能を育む重要なプロセスは帰納・演繹プロセスであると言えます。エキスパートは経験から法則性を発見し、法則をアナロジカルに敷衍してその専門的知見の地平を拡げます。そのスキルは、経験により深まり汎用性を増していきます。それはエキスパートの創造性を支える知的源泉と言えます。 

 AIのパターン発見能力の進化は特定タスクにおいては人間を上回っています。このことから、AIは法則性の発見を得意とするとは言えます。しかし、その法則性を敷衍して一般化したり全く新しい領域に適用して新しい洞察を得ることに関しては無力です。つまりこの帰納・演繹プロセスには、AI進化の大きなデッドロックがあります。 

わたしたちは、このデッドロックを克服する第一歩はエキスパートインザループにあると捉えています。つまり、エキスパートとAIが相互作用を継続することで、AIはデッドロックを克服し、より多くの利益をエキスパートにもたらすのです。具体的には、まず、AIは観察結果から小さなパターンやルールの発見の蓄積を学習することで一般的な法則性を抽出し提案することができます。その中のいくつかはエキスパートに洞察を与え、独自の新しいルールや原理を導き出すことを助ける可能性があります。エキスパートがその選択をAIに伝えることで、その行動が強化されます。他方で、AIシステムはエキスパートから得たルールを横断的に収集することで、メタ的な一般化プロセスを試みます。これらの一般化するスキルはデータで検証される同時にエキスパートに選択されることで継続的に強化されていき、AIはデータを処理する際の一般的指針となるものを抽出・蒸留していきます。このようにして帰納・演繹の機能がエキスパートとの共生により徐々に育まれていく可能性があります。 

究極的には、AIシステムは生成モデルを介し、エキスパートが基本的なアイデアから新しいコンセプトを生み出す作業を支援します。人間が冒頭の文章を示すことによってAIシステムが後続のパラグラフ全体を記述したり、アニメーションの数フレームから次のフレームを生成したりということが試され始めています。エキスパートAIで目指すものは、出力結果が常識などの前提知識への適応、出力結果への首尾一貫性を満たした上で、人間が洞察を得られるような品質を提供できるようなシステムです。この機能によりエキスパートの想像力は最大化され、最初の着想から発生しうるその後の様々な道筋を「予見」することができ、そこからブレークスルーを生み出すことを可能にします。 

レスポンス(Response) 

上記のようにAIの進化に不可欠な人間とAIの間の相互学習やコミュニケーションの機会を生むために、AIシステムは結果や発見を的確に人間に知らせ、そのフィードバックをAIが的確に取り込みモデル改善をする必要があります。この仕組みは現在のAI業界において最も重要視されていながらも未だ成しえていません。 

AIのアウトプットを評価し、より優れたパフォーマンスを発揮できるよう、AIシステムを導くエキスパートがループの中にいると想像してみてください。エキスパートはAIのレスポンスの背後にある理論的根拠を理解し、またAIはエキスパートの建設的なフィードバックからメタ的な学習を行うことで観点やスキル自体を学ぶことで、より質の高いレスポンスをエキスパートに提供出来るように成長します。このAIの成長よって、AIとエキスパートに共感が生まれ、相互関係のクローズドループが形成されます。 

 シナモンAIは、その将来的なシナリオに確かな方向性を示すために、以下の点にフォーカスしています。

  • 信頼性のあるレスポンス
  • エキスパートとAIの共生(エキスパート・イン・ザ・ループ)によるハイブリッド知能    

機械によるアウトプットは信頼できるものでなければなりません。そこでシナモンAIでは、AIの出力を評価するための信頼度スコア推定モジュールを開発しています。また、AIの判断根拠を提示する技術を開発しています。このように、エキスパートがいつ、どこで機械のアウトプットを利用するべきか、または破棄すべきかをエキスパートに提案し、さらには、機械のアウトプットとその根拠をエキスパートが解釈可能な形に変換し、機械がいかにその結果を導き出したのかエキスパートが理解できるようになることを目指しています。それによって、機械とエキスパートの間の信頼関係を高め、継続的な相互改善関係を築くことができるのです。 

また、AI側からユーザに働きかけることによってモデルの改善が効率的に行われます。例えば、AIが判断の境界の部分や自信のないところをユーザに確認したり、前提となる文脈を相互作用により明確化し問題のスコープを適切に絞り込んだりすることで、モデルの実用性が飛躍的に向上します。 

まとめ

それぞれのAIシステムは、人間と対話しながら段階的に協業するよう設計されています。シナモンAIでは、エキスパートの能力を最大化させる現実的なシステムを構築するために、エキスパートとAIが建設的な相互作用サイクルの中で、共存し、協力し合い、お互いを向上させるエコシステムを構築すべく努めています。 

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シナモンAIでは、コンサルティング、ワークショップ、ソリューションの提供を通じて、「AIを競争戦略に結びつける」お手伝いをさせていただいております。ぜひお気軽にお声がけをいただけましたら幸いです。

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