オフィス業務で変わる、働き方の具体例から学ぶ

これまで第1回第2回では、「3密+人の移動」の4つの変化の影響を視点に、「対面をベースにしたコミュニケーション」、「様々な書類が関係する事務処理」、「複雑な手作業」を見つけることで、AI検討の入り口を見つけるというお話をさせていただきました。今回は、実際にシナモンAIのお客様では、どのようなアクションの傾向があったかを、実例を加えて見ていきたいと思います。

オフィス業務の究極の変化の1つは、オフィスが不要になること

現在、シナモンAIで提供しているビジネスAIソリューションは、オフィスで発生する業務で活用されることが中心となっています。具体的な用途の一例としては、事務処理の効率化、契約書のレビュー、設計図面の差分チェック、大量の過去文書からの情報検索などがありますが、どの業務もオフィスで集まって行うことが中心です。

私たちがお客様から伺った業務変化の一例について、ご紹介をさせていただきます。今回は、保険業界の事例についてお話をさせていただきます。

非構造化データを手作業で構造化する業務が大量に存在

保険業界では、お客様からのたくさんの資料やデータを預かり、それらの書類をもとに様々な業務を行っています。例えば、本人確認書類、申込書、支払申請書、健康診断書、修理や修復に伴う見積書、など、数百種類にもおよぶ書類の処理を行っています。

これまでは、そういった書類の処理は、事務処理センターというようなオフィススペースに集まり集中的に処理を行うことが一般的でした。そこにはたくさんの社員や派遣社員の方々が勤務をされていましたが、新型コロナウイルスの影響により、3密への対処は、そのような社員やパートナー企業の方々の安心安全やエンゲージメントの観点からとても重要な課題になっています。そのような外部環境の変化の中で、企業が取っていたアクションには3つほど方向性が見られました。

ケース1:まずはリモート環境を整備

これまで、オフィスでの勤務を前提に考えていた企業では、リモート環境を想定したコミュニケーションツール、コラボレーションツール、情報セキュリティが整っていないという会社も多くいらっしゃいます。そうした企業では、システム部の方々が、まずは在宅勤務を実現するためのITシステムの導入にリソース配分を優先し、急速にリモート勤務環境を整えられています。そうした企業でも、緊急事態宣言の解除に伴い、もともと企画していたデジタル・トランスフォーメーション推進業務に、徐々にリソースが戻り、プロジェクトを再開する動きが見られてきています。

ケース2:書類の直接入力からデータスキャンプロセスを通じてリモートワーク促進

これまで、郵送されてきた書類をオペレーターの方々が直接システムに入力・処理するというワークフローを組まれていた作業もたくさんありました。ここに、ここに人が書類から直接データを入力するのではなく、一度、データのスキャンを行い、スキャンされたデータをシステムの画面上で処理するというフローに変更をしています。これにより、データをスキャンするというい新たなオフィス業務が発生してしまうものの、より業務量の多い実処理については、在宅勤務からでも対応が可能になっています。もちろん、こうしたワークフロー自体は従来からありましたが、上記のリモートワーク環境の整備と合わさって、3密や人の移動を軽減することに貢献しています。さらに、この業務の切替タイミングでAI-OCRを導入して、さらなる業務効率化を進めている企業もいらっしゃいます。

ケース3:お客様からの電子データで受け取ることで、オフィスで行う業務をゼロに!

さらに進んでいる企業では、これまで郵送で送られていた書類を、スマートフォンで撮影した写真で送ってもらい、書類から電子データに代替する取り組みを始めています。これにより、オフィスでスキャンするという業務さえ無くなってしまうため、オペレーターの方々がオフィスで行うことをゼロにすることも可能になります。これにより、働く時間や場所の制限が大きく拡張することもできるようになるので、採用は働き方の多様性も生まれてくると考えられます。もちろん、送られてくる画像をAI-OCRで処理することで効率化や標準化を推進することもセットで考えられています。

Withコロナ時代におけるオフィス業務のデジタル・トランスフォーメーションには、非構造化データ対応が重要!

先ほど、シナモンAIでAIソリューションを提供する業務の一例で、事務処理の効率化、契約書のレビュー、設計図面の差分チェック、大量の過去文書からの情報検索などがあるとお伝えしましたが、これらに共通して扱う情報が「非構造化データ」です。

「非構造化データ」とは、電子メール、提案書や企画書、見積書や発注書、契約書、デザインデータ、CADデータや、日常的な業務で作成されるプレゼンテーション、ワード・エクセル、画像、動画データなどを指します。データ単体で意味を持ち、それぞれで業務用途が異なるので、データベースで扱うことが難しいデータです。実は、企業活動の中で保有される8割以上のデータは、この非構造化データと言われています。

事務処理の自動化と聞くと、紙書類の処理をイメージされる人も多いかと思いますが、非構造化データは電子ファイルとして保存されているもののほうが圧倒的に多いのです。また、先日、法務省が取締役会の議事録作成に必要な取締役と監査役の承認についてクラウドを使った電子署名を認め、手続きの簡素化を推進するというニュースがありましたが、このようなクラウドを活用する流れは益々進んでいくものと考えられます。これらの非構造化データを、どのようにデジタル・トランスフォーメーションに取り込んでいけるかが、成否をわける大きなポイントになっていくと考えています。

これまで、3回に渡り、Withコロナ時代のAI活用というテーマでお話をさせていただきました。次回からは、「AI-Ready化を推進する」というテーマで、企業がAI活用をどのように推進していくのか、という具体論についてお話をさせていただきます!

シナモンAI 取締役COO 家田佳明

電通、リクルート、P&G Singapore、起業を経て、Cinnamonへ参画。豊富な新規事業立ち上げ経験から、新規事業コンサルティング・プロダクト/サービスデザインを担当。事業要件と技術的解決策の橋渡しを行う。

シナモンAIでは、企業の皆さまのAI活用や働き方改革の推進について、コンサルティング、ワークショップ、ソリューションの提供を通じて、お手伝いをさせていただいております。ぜひお気軽にお声がけをいただけましたら幸いです。

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